花粉症に効くのは良いけれども
2009年 03月 21日
今回は、「花粉症に効果のあるお米の研究」のお話をしますが、
その前に、簡単に「花粉症」のお話をしましょう。
只今、花粉症のピークと言われています。今や1000万人以上が発症しているとまで言われている花粉症。皆さんご存知のとおり、花粉を鼻から吸い込むことで、鼻水、鼻づまり、くしゃみなどのアレルギー症状が出てしまうというものです。
この症状は、人間が本来持っている働きが引き起こしているわけです。
人間の体というのは、中に異物が進入することで、それを排除しようとする動きをします。それを繰り返す中で、同じような異物が入り込んだ時に、すぐに対応できるように記憶します。
花粉症の場合、花粉が鼻から入ると、それを異物と認識してすぐに、それに対応するように鼻水などの物質が体内から出されます。
これが過剰な反応をしたり、本来は害の無い異物に対して反応してしまうのが、花粉症の特徴なわけです。
そんな花粉症、現在行われている治療法と言えば、
流行前から薬を飲み始めて、発症しても症状を抑制する「予防療法」
発症してから症状を和らげるために薬を服用する「対症療法」とが一般的だそうです。
これに加え、症状そのものを無くそうと言うのが、「減感作療法」と言われるものです。
本来異物に対して反応する人間の体。花粉に対してその反応が過剰に起きてしまうために発症するのが花粉症なわけです。
この反応を抑えるべく、体自体を異物(=花粉)に慣れさせていき、体質そのものを改善していこうと言うのが、この療法の目的です。
既に一部で取り入れられ、効果も実証されているようですが、治療そのものの期間が長く(2~3年)、また慣れさせるために異物を注射で送り込む際の量の加減が難しいことから、まだ一般的な療法にはなっていないようです。
さて、ここからが「お米」の話。
「花粉症に効果のあるお米」とは、一体どんなものなのでしょうか。
お米=ご飯は、日本人であれば毎日食すであろう食材です。
このご飯で花粉を日々摂取することで、体質の改善が出来ないかということで
研究が進められていました。
そこで考えられたのが、花粉と同じようなものを米の中で形成できるようにするため、
花粉を形成する一部(エピトープ)人工的に組み込み、米の中で作らせるようにしました。
これを含んだご飯を食べることで、体は花粉が入ったという認識を持ち、続けることで花粉に対する慣れを持ち、実際に花粉が入ってきた時に過剰な反応をしないようにするというものです。
この手法の利点としては、毎日続けて摂取できると、花粉を全て取り込む方法より体への負担が軽く、副作用が少ないと言う点です。
この研究、5年ほど前から始まり、栽培とネズミやサルに対しての実験が行われ、効果を確認できるところまで来ていました。
ところが、
この研究を進めていた農林水産省に対して、待ったをかけたのが厚生労働省でした。
当初「特定保健用食品(=特保)」での商品化を考えていた農水省に対して、「原因物質を人工的に米に組み込むこと自体が、治療目的」として医薬品としての取扱いを求めてきた厚労省。
医薬品として開発を進める場合、人に対する臨床実験をする他に、効果や副作用など詳細な内容を調べていかなければならず、一般的に服用されるまでには相当な時間がかかります。また、この開発を進めるためには、医薬品メーカーとの協力も当然必要になってきます。
そんな指摘を受けたのが1年以上前の話で、それから共同で開発をしてくれるメーカーを探したが、どこも名乗り上げなかったそうです。
臨床実験にかかる数十億ともいわれる費用、そして米のような日用品が医薬品として認可された前例が無かったことがネックになっているようです。
それに加えて、人工的に米に組み込む=遺伝子組み換えに対する世間一般のイメージから、商品化できるかどうかの見通しが立たないと言う不安要素も要因のようです。
結局のところ現段階で、この研究はストップしているそうです。
栽培自体も休止され、玄米や種籾を保存し、今後現れるであろう同志を待っているそうです。
確かに、花粉症の皆さんにとって、これが実用化されるのであれば朗報でしょう。
遺伝子組み換えとはいえども、組み込まれたもの自体が害を及ぼすほどのものえはないとも言われています。
ただ、現状を考えると、日の目を見るのはなかなか難しそうです。
